ゴルフにミスショットはつきものです。ミスショットとどう向き合うかが、ゴルフの一つの真髄かもしれません。納得できるミスショットと納得できないミスショットがあります。OB、ロスト、池ポチャなんて、納得できるわけないですね?「なんでこうなっちゃうんだ?」「こんなはずじぁ・・・」意欲のあるゴルファーほど、心かきむしられるもの。次のショットでこの損失を挽回しなきゃと思うのも無理のないことです。そこに力みが生じ、またミスショットを呼び込んでしまう。だからゴルフは難しいですね。
経済学、特に管理会計学の中に「sunk cost」という概念があるのをご存知でしょうか?「埋没費用」と日本語訳されるもので「意思決定の考慮に入れてはいけない費用(原価)」という意味です。「ミスショットとは、ゴルフマネージメントにおけるsunk costだ」ということを今から述べます。
例えばある会社が数年に渡ってMacで社内システムを構築してきた。多額の
投資をしてきたが、Windows/PCが急速に進展し、
情報システム部としては、できればこれに切り替えたいと考えるに至った。しかし経営者から見ると、それは多額のお金をつぎ込んだ旧
システムをどぶに捨てることになる。Macへの投資を回収する前に捨てるのはもったいない。元が取れないと考えてしまう。このMacへの過去の投資、これがsunk costです。Macはダメと言い切るつもりは全くありませんので、旧来のシステムと言い換えましょう。「これから未来に向けて現時点でベストの投資」を選択すべきだというお話です。
違う例を挙げましょう。ここに印刷会社があります。今月60万枚の売上があり、コストはざっと以下の通りです(この会社は人員と設備が月産100万枚のキャパを持っているとします)。
材料費 1,500万円(1枚当たり25円)
人件費 3,000万円
減価償却費 1,500万円
ここで40万枚の引合いが入りました。丁度余力をギリギリ満たす注文です。通常見込める注文60万枚に加え、この追加注文を引き受けると、コストは:
材料費 2,500万円(1枚当たり25円)
人件費 3,000万円(1枚当たり30円)
減価償却費 1,500万円(1枚当たり15円) となります。
さて、一体いくら以上でこの注文を受けるべきでしょうか・・・?25+30+15=70円以上でしょうか?55円でしょうか?正解は「25円以上なら受けるべし」というものです。
今回生産能力の範囲内ですから、人件費と減価償却費は、60万枚でも100万枚でも変わらないので、追加受注に直接かかる経費ではないことになります。すなわち材料費以外は、どういう意思決定をしようが、それと関係なく発生するものなので、検討要素に入れる必要はないということが分かります。
さーて、ゴルフにもどりましょう。ミスショットも同じではないですか?
ミスショットは過去の投資の失敗であり、減価償却費としてスコアという決算にのしかかって来ます。しかし、その後のプレーの展開には無関係。次のショットの意思決定の考慮にいれてはいけないコスト、ということにならないでしょうか?
何打損したか・・・これを考えてもしょうがないのです。球筋を振り返り、次に自分のスィングのどこを変えるか、風向きは変わってないか、地形はどうか、先ほどのミスから
学習して、今度はどの方向を向いて立つか・・・・「材料費」として考える材料は山ほどあり、次のショットまでの時間は限られているのです。